「マネーボール」に魅せられて

私の好きな野球本「マネーボール」がいよいよ映画化。11月に日本でも公開されるようです。

 

興味深い題名と白地に白球というシンプルなデザインの書籍を書店で見て、すぐに購入したことを覚えています。その後誰かに押し貸しして、行方不明になりましたが(笑)。

 

アスレチックスのGM、ビリービーンがセイバーメトリクスという新しい分析手法を用いてチームを再生させるというのが大まかな筋です。彼自身が将来を嘱望された選手でありながら挫折した、という経験があったからこそ、セイバーメトリクスを受け入れることが出来たのだと思いますが、それらのストーリー自体の面白さもさることながら、野球というスポーツを徹底的に数値化して掘り下げて「いかにチームを強くするか」に結び付けていく過程に惹きつけられた覚えがあります。

 

たとえ草野球といえども、選手自身は自分の打撃成績や投手成績にこだわるもの。しかし従来の指標だけでは、単なるチーム内での競い合い以外の意味は見出しにくかったのが正直なところでした。セイバーメトリクスを活用するということは、そこから一歩踏み込んでデータを別の角度から眺めるということ。そこで曖昧だった選手の個性(傾向)が浮き彫りになり、監督としてもオーダーや采配に活かせる部分が出てきたのが収穫でした。

 

具体的にいえば、打者であればOPSやRC、投手であればWHIPやDIPSを重視することで、選球眼や走塁も含めて総合的に得点力が高い打者なのか、守備の出来に左右されず失点する確率が高い投手なのか、ということがわかる様になり、打点や防御率という変数の多い数値にだまされにくくなりました(用語の意味については野球用語集をご覧ください)。

 

本は既に文庫化されていますので、未読の方はぜひご一読ください。読書がお嫌いな方は映画を観てください。野球のデータ分析やセイバーメトリクスに興味を持つことで、より野球というスポーツの奥深さが実感できると思いますよ。